マスキング効果とは?
音漏れ、特に漏れて聴こえるプライバシーや機密性の高い会話は、どのように対策をすればよいのかと頭を悩ませているご担当者は多いかもしれません。
「遮音対策はしたつもりだが、意外と声が漏れる。」
「防音工事は費用が掛かりすぎるし、設計士からは費用対効果が弱いと指摘された。」
「そもそも、条例の関係上、これ以上遮音対策ができない。」
などとお考えではないでしょうか?
そこで、特殊な音を流して音漏れを解消する"サウンドマスキング"という手法がアメリカの企業を中心に採用されており、日本でも近年注目されつつあります。
マスキング効果とは、ある周波数の音が他の同じ周波数の音を聞こえにくくさせるという現象のことで、一般的にTVの砂嵐のようなノイズを流して音漏れを掻き消しておりました。
弊社グラムスラムでは、これを発展させ、独自に開発した人の声の周波数が含まれているヒーリング音楽を流す事で、ストレスなく漏れて聴こえる声が何を話しているか分からないようにさせて頂いております。
(関連サービス)⇒ サウンドマスキング | 会話漏れを音で聞こえにくくする!
スピーカーと再生機器を設置するだけなので、防音工事と比べ安価で工数もあまりかからないことから、弊社にも病院や企業様から多数のお問い合わせを頂いております。
マスキング音を流しただけでは効果はありません
しかし、魔法の道具ではありませんので、マスキング音を流しただけでは会話漏れは解消できません。
会話漏れの環境によって、スピーカーの設置場所や音量・音質等をカスタマイズして調整をする事で初めて効果が発揮されます。また、マスキングが効果である環境とそうではない環境というものございます。
今回は、実際ご導入頂いたクリニック様の事例を踏まえご紹介をさせて頂きます。ご導入やお問い合わせの際のご参照にして頂ければ幸いです。
ケースとして
診療室から漏れる先生と患者様の声を、
1:待合室へ漏れて聴こえないようにする。
2:隣の診療室へ漏れて聴こえないようにする。
の2つに分けてご紹介をさせていただきます。
事例1:つちだクリニック様_内科・皮膚科・漢方内科_埼玉県春日部市
ご導入の目的
診療室から漏れる先生と患者様の声を、待合室で聞こえなくする。
環境
・診療室の扉からと、診療室隣の受付(診療室と受付の間には扉等の仕切りなし)を通じて、待合室へ漏れていました。
・待合室にはTVが設置され音声を流していたが、マスキング効果はありませんでした。
扉は、開閉しやすいように素材が軽いことが多いのですが、音は軽い素材ほど突き抜けやすい特性があります。また、一般的にどうしても隙間が空いてしまいますので、そこから否応にも漏れてしまいます。
参考記事 ⇒ 病院・オフィスの防音・会話保護の3つのルールとは?
さらに、同クリニック様の場合、診療室の隣が受付なのですが、診療室と受付の間は、扉や壁などの仕切りが設置されておらず、(クリニック様の場合、利便性を踏まえて、このようなレイアウトは多いかもしれません。)診療室の声が写真のように受付⇒待合室と回り込んでも伝わっておりました。
*扉から以外も、矢印のように音が回り込んで伝わります。
一般的に仕切りがない全くのオープンスペース上で、話し手と第3者の距離が非常に近い場合マスキングは難しい場合がありますが、今回のように、仕切りのない空間でも、音が回り込んで伝わる場合、ある程度音の周波数が減衰されますので、マスキングの効果が比較的発揮しやすいという事が今回のポイントです。
ちなみに、TVの音声の場合、マスキング効果がある周波数の音が含まれているシーンもありますが、そうではないシーンもあります。また、TVの設置場所の関係上、周波数の音が待合スペースに滞在される患者様に適切に届くとは限りません。
マスキング対策
・会話漏れの方向と聞かせたくない人の導線を踏まえてスピーカーを設置しました。
・場所によって音漏れの音量差があるため、スピーカーの設置場所に応じて音量を個別に調整しました。
スピーカーは、原則として、会話漏れを聞かせたくない人に、マスキング音が適切に伝えられるように設置します。その際、どこから音が漏れているかも踏まえて設置します。
待合スペースでの患者様の導線は、入り口⇒受付⇒待合室の座席⇒お手洗いなどとなります。また音漏れは、診療室の扉と受付から回り込んで伝わります。この2点を踏まえて、患者様にマスキング音が適切に伝わるように配慮しました。
また、会話漏れの音量は、場所によって異なります。これは、扉から漏れて伝わる場合と、回り込んで伝わる場合では、音漏れの音量差が生じるからです。そこで、設置場所に応じて、スピーカーの音量を個別に調整し、患者様導線上:特に待合室の座席上に、均一に効果出るように配慮をしました。
事例2:おしげ皮フ科クリニック様_ 神奈川県平塚市
ご導入の目的
隣の診療室の同士の会話漏れ対策
環境
・診療室と診療室の間は壁で区切られていますが、入り口後方は双方間を行き来する通路となり、仕切りはなく、そこから音が回り込んで会話漏れが発生していました。
・しかし、診療室の面積は狭くないので音の反響は少なく、また先生も穏やかに話されるので、会話漏れが室内で大きく響くという環境ではありませんでした。
ポイントとしましては、先述と同じように仕切りのない空間を音が回り込んで伝わるという事と、もう1点は会話漏れを聴かせたくない場所が診療室内:先生と患者様が会話をするスペースという事です。
*各診療室間の通路から音が回り込んで伝わっております。
マスキング音源が診療室内での会話の妨げにならないことが大切で、そのためには音量もそうですが音質も調整をする必要があります。
面積が小さいと、反射の影響で音が増幅されて漏れる声が大きくなる場合があり、マスキング音の音量も通常より大きくする必要があります。そうすると、マスキング音自体が診察:会話の邪魔になってしまいます。
しかし、各診療室は適度な面積がありそこまで会話漏れの増幅が大きくないという事が、マスキングを行う上では良い点でした。
マスキング対策
・会話漏れの方向と聞かせたくない人の導線を踏まえてスピーカーを設置しました。
・先生と患者様の会話の妨げにならないように、音質と音量を調整しました。
先述と同じように、会話漏れと患者様の導線を考えてスピーカーを設置することがポイントとなります。診療室内での患者様の導線は決まっているので、そこをしっかりとカバーできるように配置をしました。
また、マスキング音源が診療室内での会話の妨げにならないように、音量もそうですが音質も調整をする必要があります。
グラムスラムでは、マスクキング音の周波数を専用ソフトで調整をさせて頂いております。このことで隣の診療室からの声は聞こえないようにするが、先生との会話は妨げないように調整しました。
また、スピーカーの角度を調整し、壁や天井からの間接音を活用し、照明でいう間接照明のようにやさしく包み込まれるように配慮をしました。
以上、2つのクリニック様での事例を元にご紹介をさせて頂きました。
このように
・どのようにして会話漏れが伝わるか?
・会話漏れを聞こえさせたくない場所は、どのような目的で使用する場所か?
を踏まえて、スピーカーの配置場所、音量・音質等を調整する事で効果がでます。
もしご興味頂ければ、一度専門家にご相談をしてみてください。弊社では、実際の会話漏れ環境にて、デモンストレーションを行っております。お気軽にお申し付けくださいませ。(東京、神奈川・千葉・埼玉(一部を除く)以外は、実費で交通費のみをご請求させて頂いております。)