音の印象で「居心地良さ」を変えよう
居心地良さ。店舗の業種によっては、来店者の滞在時間や満足度を決定する上での重要な要素ですよね。 何となくこの店は心地よい雰囲気、何となくこの店は居心地悪い雰囲気ってありますよね。
もちろん空間デザインも重要ですが、スピーカーから流れるBGMの要素もとても重要なのです。音は目に見えないのであまり意識はしませんが、 人は音から無意識的に心地よさや反対にストレスを感じているのも事実です。
以下の2つの音を聴き比べてみて下さい。
パターン1
パターン2
いかがでしょうか?2つの音は全く同じ楽曲なのですが、印象が大分変って聴こえませんか? "パターン1"の音は、どこか鋭くキンキンとし、少し音量を上げると不快ですよね。反対に"パターン2"の音は、 どこか暖かみがあり、音量を上げてもあまり不快ではありません。 実は、これら2つの音は、それぞれ周波数帯域を変更させているのです。
音には「金属性因子」といって「鋭い⇔鈍い」「緊張した⇔暖かい」を表す因子があり、 SD法(感性に訴えるもの印象を統計的捉えた手法)によって科学的に決定されたものです。
その他にも、「綺麗な⇔汚い」「澄んだ⇔濁った」と関係する美的因子、 「迫力ある⇔物足りない」「豊かな⇔貧弱な」などと関係する迫力因子があり、 これらの因子を組み合わせて、音の印象は決定されるのです。
先述の金属性因子は、音の周波数の構成で大きく印象が変わり、お聴きいただいたように 店舗空間の"居心地良さ"に関係してきます。
「イコライザー」で、お手軽に変える!
そこで、重要となってくるのがイコライザーという機材。これは、 音を各周波数帯毎に細かく分けて調整出来る機材です。 レコーディング現場やクラブ・ライブハウスなどでは必ず導入されていますが、店舗では導入されているところは少ないかと思います。
しかし、このイコライザーを上手に使用し音の周波数帯を調整する事が、 居心地の良い空間を作る上での重要なポイントなるのです。
前回のコラムで、人に伝わる音は、スピーカからの「直接音」と、 壁に反射して発生する「反射音」があると記載しました。 この「反射音」は、反射面の素材によって、特定の周波数帯が変化します。 例えば、反射面が石膏ボードの場合と、ガラスの場合では、反射音から受け取る印象が大きく異なってくるのです。 結果、場合によっては、人に最終的に伝わるBGMが先ほどのパターン1の音のような鋭く不快な音になってしまう事があるのです。
また、設置した元々のスピーカーの特性として、 パターン1のような音になってしまう事もあります。
こういった音をイコライザーで加工することにより、パターン2のような心地よい音に変化させる事が可能なのです。。 (ちなみに、機材のお値段は1万円前後から。)
音の印象は、基本的にはスピーカーで決定します。しかし、居心地良い音を出そうと思うと、 高額な機材を選定しなければならないケースが多いです。 しかし、イコライザーを導入し音の印象を補正する事で、高額なスピーカーを選定しなくとも 来店者へ居心地良い空間をご提供し、滞在時間を向上させる事も可能なのです。
ちょっとした工夫で、店舗の印象を大きく変える事が出来る音響。是非、ご相談ください。