反射音を上手に生み出し、少ないスピーカー台数でも音を均一に届けよう
以前ご相談を受けた、都心20坪のカフェを新規開業予定のオーナー様から「音響設備を導入するにあたって、 音を空間にしっかりと届けたいと思い、専門のスピーカー販売店に相談したところ、 数多くのスピーカーの導入する事を進められ、予算的に厳しかったので断念した。」 といったお話をお聞き致しました。
確かにスピーカーの数をより多く設置すれば、音は空間により良く届くでしょうが、その分、 増やしたスピーカーに対応するアンプの台数などを含め、コストはどんどん高くなってしまいますよね。
しかし、スピーカーの台数を増やさなくても、空間全体にしっかりと音を届けるのためのポイントがあります。 それは反射音を上手に活用する事です。
「反射音?」普段なかなかお聞きになる事は少ないかと思われますが、実は、音は
- スピーカーから直接聴こえる音
- 壁や天井などに反射して届く音
の2種類に分けることができます。
例えば、スーパーボールを壁に向かって投げると(男性なら一度は経験があるかと、、)跳ね返って四方八方にボールが飛んでくるかと思いますが、音もそのように壁や天井などに反射して我々に伝わってきます。
またスマホでyoutubeを見る場合、部屋の中と屋外とでは部屋の中の方が音量を大きく感じられると思いますが、室内ではスピーカー本体から出る音以外に反射した音が発生するため相対的に大きく感じられるからですね。
ですので、周囲の壁や天井を踏まえて、この「反射音」を上手に生み出すことが、音をお客様導線に効率的に伝える為のポイントとなります。
ちなみに、以前店内音楽を売りにしている外資系の某飲食チェーン店に行ったのですが、フロアを見渡すと何台ものスピーカーが客席に向かって設置をされていました。直接音の観点から数多くのスピーカーを設置されたのでしょうが、反射音を有効に活用すれば現況の1/3ぐらいの台数でも良いのになーと思いながら見ていました(笑)
反射音を効果的に生み出す為に、おすすめのスピーカーのタイプは?
では、効果的に反射音を生み出す為にはどのようなスピーカーのタイプがお勧めなのでしょうか?
スピーカーの設置タイプは、大きく分けて
- 天井内に埋め込むタイプ
- 天井に吊り下げる/壁に掛けるタイプ:露出するタイプ
に分けられ、 後者の天井に吊り下げる(壁に掛ける)タイプがお勧めです。
なぜなら前者は、スピーカーの真下にしか直接音が届かないので、周囲の壁やお客様の動線などを踏まえて反射音を作り出す事が難しいですが、 後者では周囲の壁やお客様の動線などを考慮して、反射音を効果的に作りやすくなるからです。
ここで、露出型のタイプを選ぶときにご注意頂きたいのが、スピーカーの角度を調整できるのかどうかです。基本的にスピーカーは正面が一番しっかりと再生され、正面から角度が離れれば離れるほど薄くなるのですが、スピーカー本体を壁などに固定をしてしまうと、スピーカーの角度が調整できず、設置してから反射音を調整できなくなってしまうからです。
以下のスピーカーは、天井吊り下げ金具(ブラケット)部分を、左右360度/上下180度に動かす事が可能です。ただ、あまり壁際に設置しすぎてしまうと、角度を調整した時に、スピーカーが壁にぶち当たってしまいますので、その辺はご注意してくださいね。
次は「スピーカーの配置場所」を考慮しましょう。
スピーカーのタイプが決まれば、次は配置場所を考慮しましょう。
- 店舗の形状・面積
- お客様の動線
を踏まえて、スピーカーを設置すれば音を空間に十分に広げる事が可能ですが、 反対に、適当に設置してしまえば、音が最適に広がらないばかりか、ある場所では音がうるさく感じてしまうケースもあります。
一度設置をしてしまえば、やり直しはケーブル配線なども踏まえて新たに施工工事が発生しコストがかかりますので、ここは一度専門家にご相談をされた方が良いかもしれません。
音質面でも吊り下げ/露出タイプが優位
ちなみに、音質という面でも、実は天井に吊り下げ/露出タイプの方が優位なのです。(後日詳細をきさいします。)
ホームオーディオのキャッチコピーにも「臨場感のあるサウンド」というように、音質を考えるにあたって音の立体感/臨場感も重要な要素ですが、この立体感・臨場感を生み出すには、吊り下げ露出タイプの方が優れています。
といいますのも、人の耳:耳介(じかい)は集音器の役目があり、水平方向に左右2つあることによって音の立体感/臨場感を感じるのですが、埋め込みスピーカーですと音が真下にした向かわないため音が水平方面に伝わりにくく、結果音の立体感/臨場感が生みにくくなってしまうからです。
店舗デザインとの兼ね合いに注意しよう
ただ、デザイン上、店舗によっては天井埋め込みスピーカーが好まれる場合がございます。埋め込みタイプに比べ、目に付きやすいとの理由からですが、その場合、色合いや大きさ、配置場所も含め、店舗デザインとの兼ね合いがポイントとなってくると思われます。
最後に
以上のように音の反射音を十分に活用すれば、数多くの音響機材を導入せずとも、効果的に音が空間に広がり、音質的にも優位となります。
オーディオの世界では高価なイメージがありますが、先ほどのオーナー様も、「これくらいの金額でも、ここまで音が広がるのですね」と驚かれていました。
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