お客様を魅了する良い音とは?
レストランやカフェなどで、音楽イベントなどを開催したいというオーナーの方もいらっしゃると思います。 話題のお店である"俺のイタリアン"さんでは、店内で生演奏のライブを開催していらっしゃり、 これが好評なようです。
店舗様にとっては、固定費はミュージシャン(場合によっては、音を調整する人間)の人件費のみなので、 入場チャージを取るとお客様が入れば入るほど利益率は挙がり、 その分食材などに回せることが出来さらにお客様に喜んで頂ける事が出来るというのだそうです
とはいっても、ライブハウスやクラブではない一般の店舗で、 チャージを取って音楽イベントを開催しようといっても、なかなか敷居が高く感じられるのではないでしょうか? もちろん、ミュージシャンやDJなどを募集するのにも手間が掛かるかもしれませんが、 そもそも お客様を魅了でき、 出演する側にとっても出たくなるような音環境であるかどうかがお悩みかもしれません。
そこで、"良い音"をご提供するための、ポイントをご紹介いたします。 生演奏とDJイベント、そして音楽ジャンルの違いよって求められる要素は異なりますが、 基本となる考え方2点をご案内いたします。
①音の周波数帯に注意しよう
周波数とは
◆高い周波数⇒高い音
女性の叫び声、電子レンジの音など
◆低い周波数⇒低い音
落ち着いた男性の声、重いものが落ちた時の衝撃音など
と考えてください。
音楽で考えると、低音だと例えばベースや低いドンドンというバスドラムの音、 中音だと歌やピアノ/ギターの伴奏、高音だとシンバルの音などで、 一般的に60Hz~12Khzの間にそれぞれが存在します。
まずスピーカーから出る音が、 上記の周波数の音を適切にお客様に伝えられるかどうかのチェックが大切です。特に、中音と高音の特徴として、 障害物に妨げられやすいという事があげられます。 ですので、お客様とスピーカーとの間に障害物がないことが大切です。
一般的に生演奏/アコースティックライブでは、ボーカルやギターの音は、 マイクで集音して増幅させてスピーカーから音を出しますが、これらの音は中音の帯域に集中します。ですので、この音が聞こえにくくなるとライブ自体のクオリティに大きく関係してきますのでご注意ください。
DJイベントの場合は、低音も重要な要素となります。低い音は、 「迫力の重低音」ともあるように迫力に関係します。 一般的に低音が十分に出るか出ないかは、 構造上、スピーカーの大きさに関係します。 小さ過ぎるスピーカーですと低い音が十分に出にくくなります のでご注意下さい。
ちなみに、スピーカーの配置場所としては、ステージから客席に向かって音が出るようにスピーカー近辺に集中をさせて配置するのが理想です。しかし、空間のレイアウト上、スペースの邪魔になる場合があります。その場合は、今設置されているスピーカーが有効に活用できないか一度専門家に見てもらう事をお勧めします。その他に関しては、以下の記事もご参考ください。
(参考記事) ライブイベントと店舗BGMでのスピーカー配置方法と種類の違い
②各楽器の音量のバランスに注意しよう
また、生演奏の場合は、声や各楽器の音量のバランスが適切かどうかも大きなポイントとなります。 例えば、歌声が殆ど聞こえない、、ギターの音だけが大き過ぎる、、となると問題ですよね。 こうなると、先述のように音の周波数が適切にお客様に届けられないといったことにもつながります。
これを避けるため、通常、 声や各楽器の音量のバランスを調整するミキサーという機器を導入します。 "ミキサー:(声や各楽器の音を)ミックスする"とイメージをして頂ければと思います。この機器を使用して、各楽器の音量を調整する事で、 バラバラだった各音が一つの音楽となってお客様にお伝えすることが可能です。
ちなみに、ミックスという作業は簡単そうに思えて、実は奥が大変に深いです。音楽制作の現場でも、このミックス一つで音の印象が大きく変わり、楽曲を良くするか悪くするかの大きなポイントとなります。
③響きに注意しよう
響きとは、音が壁などに反射を繰り返して時間差で伝わるときに発生する現象で、 例えば学校の体育館や大きな倉庫の中では、しゃべっているときに声の輪郭が くっきりせずポワーンとコモって聞こえますよね。これが響きの現象です。 カラオケのエコーは、これを人口的に作り出しているのですね。 (厳密に言えばエコーという表現はと少し違いますが。)
この 響きは、良い音楽空間を作り出すときに大切な要素で、 豊かさや暖かみを創造し、 適度に無いと味気ない音楽となってしまいます。
音楽ジャンルによって必要な響きの量は異なり、 例えばアコースティックライブの場合、ボーカルや、 またギター・バイオリンには比較的に多い響きが求められますが、DJイベントで、HIP-HOP/R&B・EDMなどのダンスミュージックを流す場合は、そこまでの量の響きは求められません。
本来、この響きは、先述のように反射によって生まれるものですので、 空間の体積・形状、室内の素材に関係してきますが、 コンサートホール・映画館/劇場など以外では、 音の響きを考えて設計をされる事はあまりないようです。 そこで、先ほどのカラオケのエコーのように、 人工的に響きを作る機器: リバーブというエフェクターを導入することで効果的な響きを提供する事が可能です。 (ちなみにこのリバーブは、 生演奏で各楽器の距離感を整えるのにも非常に重要な役目を果たします。)
ちなみに、このリバーブというエフェクターが、先述のミキサーに付属されていることがあります。例えば、YAMAHA社 のMGシリーズなんかがそうです。
反対に空間の特性上、響き過ぎる場合もございます。 例えば、床・天井・壁ともコンクリートのように硬い素材で覆われた空間です。 この場合は、音の反射を抑える素材:吸音材と呼ばれるスポンジのようなものを 室内に部分的に張ると過大な響きを抑える事が可能です。 ただし、見た目のイメージもありますので、ご注意してくださいね。
上記のような観点から作られた音楽空間は、 店舗といえどもお客様はもちろん、 出演するミュージシャン/DJにとっても支持される良い空間になるはずです。
最後に
以上、店舗で音楽ライブを開催するために知っておきたい項目を1から3にまとめてご紹介しました。如何でしたでしょうか?
理想でいえば、②と③は、ライブを開催される際に専門家に依頼することですが、ご予算の都合上なかなか難しいかもしれません。(ちなみに、②と③の作業を行う人間をPAと呼びます。)ですので、最初の何回かのライブは専門家にお願いしてレクチャーをしてもらい、その後はご自身でやられるというのも手かもしれませんね。
弊社では、店舗で簡単なライブを考えられている際の、機器のプランニングからPAまで行っておりますので、お気軽にご相談ください。