お客様の行動スピードとの関係
80'年代にアメリカのロナルド・ミリマンという学者が、ショッピングセンターにて、9週間、店内BGMのテンポを 日ごとに変えて、来店のお客さんの2点間の移動時間を測定し統計を取った結果、 ゆったりとしたテンポ(BPM:72)の場合は、移動時間が127.53秒、 速いテンポ(BPM:94)の場合は移動距離が108.93秒と違いが出たようです。
上記は有名?で、BGMにこだわっていらっしゃる店舗様は、 ゆったりとした空間を作りたい場合にはゆったりとしたテンポの曲、回転率をあげたい場合は速い曲など、 工夫されている事もあるのではないでしょうか?
そこで、ここでは少し踏み込んで、より実践的なご案内をさせて頂きます。ポイントは、 ご来店のお客様が、BGMのテンポを知覚しやすいかどうかです。
①手拍子が打ちやすいリズムかどうか?
ラグジュアリーな飲食店やブティックでは、JAZZを流されている事が多いようです。JAZZを掛ける理由としては、 ポップスとは異なったコードによる高級感の演出があるのかもしれません。
しかし、拍の裏から入るピアノのフレーズなど楽曲によっては、我々日本人のリズム感覚からは異なっている場合も多く、 そもそもテンポが遅いのか速いのかさえも区別がつきにくい楽曲もありますよね?
人がテンポを知覚しやすいかどうかは、手拍子が打ちやすい=楽曲の拍を刻みやすいかどうかに関係します。 楽曲を聴いて何も考えずに手拍子を打つことが出来れば、無意識にテンポを知覚できているということになりますが、 そうでない場合はテンポを知覚しにくいということになります。
もし、BGMを販促効果でも考えていらっしゃる場合、一度、流されているBGMは手拍子が打ちやすいかそうではないかと試してみては如何でしょうか? 色々と発見があるかもしません。
②メロディーやドラムが店内の騒音で掻き消されていないか?
人は、楽曲のメロディーやドラムを耳にしてテンポを刻むことが多いです。 しかし、それらを構成する楽器が店内の賑わいや騒音などで聴こえにくい状態となっており、 テンポが知覚されにくい場合があります。
例えばメロディーを構成する楽器の周波数帯域はある程度決まっていますが、 この帯域は店内の賑わいや騒音の周波数帯域に近い事が多く、 マスキング効果で掻き消されてしまっている場合がただあります。かといって音量を上げると、 他のパートの音(例えば、バイオリンの"キーン"という高い音など)まで音量が上がってしまうので、 結果うるさく不快な印象を与えかねません。
このようなその場合は、上記の周波数帯域の音のみ音量を上げて、掻き消されないようにするのも一つの方法です。 これは、イコライザーという音響機器で可能です。このコラムでも何回か取り上げている機器で、 店舗で導入されている事は少ないかもしれませんが、レコーディングスタジオ、ライブハウスなどでは必ず設置されている機器です。 お値段は1万円前後。
ただ、お客様導線とスピーカーの配置場所、スピーカーを含めた音響システムの内容によってその効果に差は出てまいります。 イコライザーの活用方法も踏まえてご興味ある方は、一度専門家にご相談下さい。
このように、BGMのテンポを積極的に活用することで、滞在時間や回転数などを向上させて見ませんか?