店舗の業種を踏まえた選び方
スピーカーを選ぶにあたって、何を基準に考えてよいか分からないオーナー様・スタッフ様も多いかと思われます。 スペック表を見ると、"許容入力:○w"、"再生周波数帯域:○Hz~○Hz"など数値が表記されており、料金も異なりますね。 これらをただ眺めても「ふーん。。」という感じですが、その用途が分かるととても参考になります。
以前のコラムでは、 少ない台数のスピーカーでも効果的に空間にお届けをするご案内を致しましたが、 今回は店舗の業種を踏まえ、選択のポイントをご案内します。通常、専門家で無いと具体的な判断は難しいですが、 それでも指針にはなるのではないかと思われます。
①店内の騒音の度合いを想定し、"許容入力"を考える
店内の騒音が少ない・多いかで、必要なBGMの音量が変わってきます。 BGMが騒音によってかき消されては、そもそもの意味がないですからね。 スピーカーは、破損する事無く出せる音量が機種毎に決まっており、 その音量が高くなると料金も高額になる傾向があります。
例えばエステサロンや医院(歯科は除く)などと、ブティックやレストランなどとを比べると、店内の騒音の度合いが異なります。 エステサロン・医院では、お客様・患者様が多い場合でも比較的静かな事が多いですが、 ブティック・レストランではお客様がそれなりにいらっしゃるとガヤガヤと賑やかになりますよね。
賑やかな空間では、出せる音量が小さいスピーカーでBGMを再生しても、殆ど聴こえない場合があります。 反対に、シーン・・とした空間では、出せる音量が大きいスピーカーを設置してもオーバースペックとなり、 費用対効果を考えると好ましくありません。
出せる音量に関しては、"許容入力:○w(PGM)"をご参照して下さい。 数値の大きさは、正常に出すことが出来る音量に比例すると考えてください。 弊社の調査では、エステサロンの場合、8畳程度の完全密室の個室ですと、 10wもあれば十分かと思われます。ただし、そうではない場合は不十分な事も多いようです。
また音量はスピーカーからの距離に応じて減衰しますので、 比較的広い空間ですと、 何台かのスピーカーを設置する事が普通です。 (1台だけですと、スピーカーの近くは音が大きく、 遠くだと音がほとんど聞こえないという事にもなりますしね。)
スピーカーの台数を増やせば、BGMの全体の音量も上がりますが、 この場合単純にスピーカーの数に比例するかと言えばそうではなく、空間の大きさ・レイアウト、 お客様の導線を踏まえたスピーカーの配置場所で異なり、経験のある専門家ではないと具体的な事は言えません。 しかし、この"許容入力:○w(PGM)"を考慮するだけでも選ぶ際のヒントになるのではないでしょうか。
②流すBGMのジャンル:BGMの目的を考慮し、"再生周波数帯域"を考える
例えば、エステサロン・医院ではリラクゼーションを目的にヒーリング音楽を、 ブティックではお買い物気分の高揚やブランドイメージ作りを目的に最新のダンスミュージックを流す事が多いのではないでしょうか。
流す音楽のジャンル=お客様に与える効果が異なると、音域の高さに関係する"周波数帯域"も異なります。 ダンスミュージックの場合、ドラムやベースの音は非常に低い重低音を含んでいる場合が多く、 これが音の迫力を生み出す要因 となり、ノリの良い小刻みなリズムとの相乗効果で、お客様の高揚感や購買意欲に影響を与えるのです。
反対にヒーリング音楽は、上記までのような重低音は含まれる事はあまりありませんが、 ある程度の低音が含まれており、 これが居心地よさを生み出す要素ともなります。
実は、スピーカーは、機種ごとに再生できる周波数帯域の幅が決まっており、 再生周波数帯域:A(Hz)~B(Hz)で確認ができます。このAの値が大きいと(低い音が出しにくいと)、 ヒーリング音楽やダンスミュージックの十分な効果を得ることが出来ません。
Aがだいたい80(Hz)以下のスピーカーですと、比較的BGMの効果が発揮しやすいようですが、 製造メーカーや流すBGMのジャンルによっても異なるので、 こちらも一度、音に詳しい人間にご相談されては良いかと思われます。
しかし実際には、スペックシート上の表記とは異なり上記の必要な周波数帯域の音が スピーカーからあまり聴こえない事も多くあります。 (一概には言えませんが)高額ではないスピーカーですと、その構造上上記の周波数帯域の音量が出にくい場合もあります。
また店舗レイアウトとの関係から設置する場所が限られている場合、 設置した場所からですとお客様の導線上に上記の周波数帯域の音が届きにくいという場合もあります。
このような場合、イコライザーという特定の周波数帯域の音量を調整する機器を使って、 各音楽ジャンルに応じて必要な帯域の音量だけを上げるというのも一つのやり方です。 これにより、効果的に居心地よさや迫力や躍動感をお客様に伝えることが可能です。 ただし、このイコライザー、操作自体は簡単ですが、非常にセンシティブですので、 音の構造を理解している経験のある専門家で無いと効果を生み出すことは難しいかと思われます。
弊社では、上記2点を踏まえてスピーカーの選択のご相談から、 必要なスピーカーの台数、イコライザーに関してのご提案もさせて頂いております。 よろしければ一度、お気軽にお問い合わせを下さい。