店舗や病院・学校、イベントなどで、音を流すにはどんな機材が必要でしょうか?またそれぞれの機材の接続方法はどのようにすればいいでしょうか?
「普段はスマホでしか音楽を聴かないので、業務用機器の事はよくわからない。」「店舗や学校用で使用する機器は専門用語が色々あり、いちいち調べるのが面倒。」などと感じられている方も多いのではないでしょうか?
そこで、今回は弊社にもよくご質問を頂きます、業務/店舗用音響機器において、音を再生するために最低限必要となる機材とそれぞれの接続方法のご案内をさせて頂きます。
★大変申し訳ございませんが、現在弊社では、機器の販売のみ・機材故障の修理のみのご対応は行っておりません。★
音を再生するのに必要な機材と、接続の順番
音楽/音声を再生するには、少なくとも
- スピーカー
- アンプ(パワードアンプ)
- プレイヤー
の3つの機種が必要です。
接続の順番ですが、
プレイヤー ⇒ アンプ ⇒ スピーカー
の順にケーブルで接続を致します。
通常スピーカーは音を届けたい範囲に任意に設置をしますが、アンプとプレイヤーは人が操作をしやすい場所に一つにまとめて設置された方が便利かもしれません。
また、スピーカーは、電源が必要ありませんが(必要なタイプもあります。後述します。)、アンプとプレイヤーには電源供給が必要となってきますので、あらかじめ電源コンセントを確保しておいた方がいいかと思われます。
以上、ざっくりご案内させて頂きましたが、以下からはそれぞれの機材や接続方法の詳細をご案内させて頂きますね。
スピーカー
*写真はBOSE社製。弊社クライアント様にも人気の製品です。
音響機器といえば、まずスピーカーを連想される方も多いでしょう。皆様もご存じのようにここから音楽・音声が再生されます。ちなみに、スピーカーは、2台セット:ペア販売をしている機材も多いので、場合によってはこちらをご購入された方がお得かもしれませんね。
お選び頂く際に、最低限見て頂くポイントとしまして、
- 許容入力ワット数(⇒出せる音量に関係します。)
- アンプとの接続方法:ロウインピーダンス用/ハイインピーダンス用
の2点があります。
上記は、後で詳しくご案内しますが、これらの違いによって、スピーカーとアンプの選び方、接続方法が変わります。特にロウインピーダンスとハイインピーダンスに関しては、それぞれにメリットとデメリットがありますので、目的・環境によって、お選び頂ければと思います。(ちなみにロウインピーダンスとハイインピーダンスの切り替えができるタイプもございます。)
この他にポイントとなるスペックとしては、再生周波数帯域などがありますが、こちらのページにワット数の選び方の指針と共に記載しておりますので、是非ご参照くださいね。
ケーブルの接続ですが、以下の図のように+・-と表記された穴に差し込みます。後述しますが、ケーブルは先端が二又になっていますので、必ず+と-とをセットで差し込んでくださいね。
また、スピーカーの配置場所や種類に関しては、以下の記事もご参照ください。
(参考記事)これだけ違う!ライブ用と店舗BGM用のスピーカー配置と求められる音質
(参考記事)おすすめの店舗スピーカーは?反射音を活用し音を効果的に拡げよう!
アンプ(パワードアンプ)
*写真はYAMAHA社製。費用対効果が高く、弊社がイチ押しの製品です。
「そもそもアンプって何?っ必要なの?」と思われている方もいらっしゃるかと思いますが、結論から言いますと、音を鳴らすために必要となります。プレイヤーからおくられた音信号を増幅させてスピーカーに音を送る機器ですので、アンプが無いとスピーカーから音が聞こえません。
「でも、ラジカセや持ち運び用のポータブルスピーカーなんかは、アンプが無くても音がなっているよ。」と思われるかもしれませんが、これらのタイプは、実はスピーカーとアンプが一体型となっているのですね。電源コンセント(または電池/充電式)が必要なのも内蔵されたアンプに対して電源供給が必要となってくるからですね。
業務用では、アンプを内蔵しているスピーカーはパワードスピーカーと呼ばれます。こちらも本体に電源が必要となりますので、設置の際は電源ケーブルをどう配線するかなども検討する必要がありますのでご注意くださいね。
また、最低限見て頂くポイントとして、スピーカー同様に
- 定格出力ワット数(出せる音量に関係してきます。)
- スピーカとの接続方法:ロウインピーダンス用/ハイインピーダンス用か
の2つがあります。
スピーカー同様、+(または100V/70V)と、-(またはCOM)と表記された箇所があり、こちらにケーブルを差し込んでスピーカーへと接続してください。出力:OUTPUTなどと表記をされ、機種によっては出力が4セットある場合もあります。
プレイヤー
*写真はAPPLE社製のiPad。音楽配信アプリの充実とともにプレイヤーとして使用されている所も多いです。
こちらは音楽コンテンツを再生する機器です。例えば、CDプレイヤー、タブレット/PC、有線放送チューナー、渋い所ではターンテーブルなどです。
ちなみに一昔前ですと、音楽を流すにはCDか有線放送かのどちらかの選択しかありませんでしたが、近年は音楽配信アプリも増えてきており、iPadなどのタブレットで音楽を再生されている所も多いようです。(ただし、著作権使用料等のご確認は必ず行ってくださいね。)
以上、音をならすのに最低限必要な機材をご紹介させて頂きました。次は、先ほど出てきましたロウインピーダンス接続とハイインピーダンス接続の違いについてご案内いたします。
スピーカーとアンプのワット数、ロウインピーダンスとハイインピーダンス
これらは、昔理科の授業でならったオームの法則に関係します。しかし話がややこしくなりますので無視をして(笑)、以下に接続方法の違いやメリット・デメリットを簡単にまとめさせていただきますね。
ロウインピーダンス接続の場合は、アンプの一つの出力にスピーカーを1台接続してください。(場合によっては、数台接続できることもありますが、スピーカーが破損するおそれもありますので電気的な事が詳しい方以外は、避けられた方が無難だと思います。)
また、スピーカーの許容入力ワット数>アンプの定格出力ワット数となるようにお選びください。例えば、スピーカー許容入力50Wですと、アンプの定格出力ワット数は、40Wぐらいにしてくださいね。これは、音量を上げた場合にスピーカーの破損を防ぐためです。
ハイインピーダンス接続の場合は、図のようにスピーカーを数珠つなぎで行います。接続できるスピーカーの台数は、アンプの定格出ワット数 ≧ スピーカーの合計入力ワット数としてください。例えば、アンプ出力100Wですと、入力が20Wのスピーカーは5台までとなります。
上記を踏まえて考えますと、ハイインピーダンスはスピーカーを沢山つなげられるので、面積が広くてスピーカーの台数が多く必要な場合は、ハイインピーダンスの方がコスト的に良いです。しかし、ハイインピーダンスは電気的に音質が悪くなるといったデメリットはあります。
そこで、それぞれのメリットとデメリットを以下にまとめます。
ハイインピーダンス
メリット
- 空間の面積が広くて、スピーカーの台数が多く必要な場合は、コストを抑えることが出来る。
デメリット
- ロウインピーダンスに比べて音質が悪くなる。
- スピーカー個別に音量調整できない。(詳細は、こちらから)
ロウインピーダンス
メリット
- ハイインピーダンスに比べて音質が良い。
- 各スピーカーの音量が調整可能。*別途機材が必要。(詳細は、こちらから)
デメリット
- 面積の広い空間の場合コストがかかる。
例えば、カフェ、美容院、イベントスペースなどでは、ロウインピーダンスの方が音も良いので適しているかと思いますが、大きなショッピングセンターではハイインピーダンスの方が適しているかもしれませんね。
次は、各機材の接続ケーブル等をご案内いたします。
各機材の接続ケーブル
それぞれの機材を接続する順番ですが、先述のようにプレイヤー⇒アンプ⇒スピーカーの順番で接続をします。
使用するケーブルですが、プレイヤー⇒アンプ間と、アンプ⇒スピーカー間は種類が違います。これは、先述のように、伝わる電流の量が異なるのでケーブルもそれに対応したものが必要となってくるためです。そこで、一般的に使用されるケーブルをまとめましたので、ご参照ください。
アンプ⇒スピーカー間に接続するケーブル
- 2芯線(または4芯線)と呼ばれるケーブルを使用
- 太さは、1mm程度ぐらいから
写真を見て頂くと、先端が2本(もしくは4本)のケーブルでできております。
先述のように、スピーカーとアンプには、それぞれ+、―と表記されているケーブル差し込み口がありますが、アンプの+にスピーカーの+、アンプの-にスピーカーの-を、ケーブルの2本の先を差し込んでくださいね。ちなみにケーブルのどちら側を+/-にして頂いてもかまいません。
ちなみに、店舗や病院を新規でオープンされる場合は、ほとんどの施工業者:電気業者さんはこの2芯線(4芯線)のケーブルを持参されているはずです。ですので、一度ご相談をされてみてください。
プレイヤー⇒アンプ間に接続するケーブル
- いわゆるオーディオケーブルを使用
これはヨドバシカメラなどの家電量販店や町の電気屋さんで販売されているようなオーディオケーブルを使用してください。
ただし、ケーブルの差し込み口が機種によって異なりますので、差し込み口に合った端子のケーブルをご用意ください。iPadなどのタブレットは、ヘッドホンを差し込む穴があります。これは3.5mmステレオミニと呼ばれるもので、通常よく使用されているのではないでしょうか?
こちらは、施工業者(電気業者)さんは、持参されていないので、ご自身でご購入していただく必要があるかと思います。
以上いかがでしたでしょうか?
長々と書きましたが、このようにポイントさえ踏まえて機材をお選び頂き接続をして頂ければ、決して難しくはないかと思います。
ただ、効果的に音を届けようとしますと、スピーカーの配置場所や音質・音量等を考慮する必要があります。詳しくは、他の記事も参考にしてみてくださいね。
もし、貴社の空間と目的に合った音響システムの設置工事、そして心地よい音空間作りをご希望の場合は、以下のページを是非ご参照してみてください!
⇒ 店舗向け音響設備/設計・工事 | 心地よい音空間作り
その他参考記事1 ⇒ おすすめの店舗スピーカーは?反射音を活用し音を効果的に拡げよう!
その他参考記事2 ⇒ 「居心地が良い音」と「居心地が悪い音」の法則とは?